「牧場の朝」

杉村楚人冠(注)作詞・船橋栄吉作曲/文部省唱歌(四年)





ただ一面に立ちこめた
牧場の朝の霧の海。
ポプラ並木のうっすりと
黒い底から、勇ましく
鐘が鳴る鳴る、かんかんと。

もう起出(おきだ)した小舎小舎(こやごや)の
あたりに高い人の声。
霧に包まれ、あちこちに、
動く羊の幾群(いくむれ)の
鈴が鳴る鳴る、りんりんと。

今さし昇る日の影に
夢からさめた森や山。
あかい光に染められた
遠い野末(のずえ)に、牧童(ぼくどう)の
笛が鳴る鳴る、ぴいぴいと。


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